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グラニット滝紀行
by WWA Staff 三好美祢子
June 12, 2004
晴天。気温は18℃。土曜日の昼下がり、ジャクソンホールの南の方角に温泉浴を兼ねた散歩に出かけることにした。 お弁当を車に積み込み、水着を持ってリードと出かける。ティートン峠では薄い層の雪上にスキーの跡が所々黒々と見える。 シーズン末で古いスキーでも使い込んで捨てるつもりだろうか? 一昨日の豪雷雨ならず雷雹でティートン峠の道筋にせっかく咲き始めたバルサムルートの黄色い花は案の定、痺れたようにうな垂れている。又咲きそろうだろうか?
ジャクソンの町を過ぎてホーバック川渓谷を東に入る。カイヤックをスマートに操っている二人組に出合う。白波のたつ早瀬をカラフルな姿が通り過ぎていく。 更にグラニットクリークの峡谷に入る。海抜1500m位だろうか。 野原を自由に弧を描き蛇行する小川、舗装していない道の両側をバルサムルートのあでやかな黄色、野生ゼラニュームのピンク、ヒエンソウの紫、草夾竹桃やウッドランドスターの白、花魁草の赤、潅木ではサービスベリーの白、そして時々尻尾を帆のように立てたシマリスがすっ飛んで道を横切る。 両側の山並みは穏やかな V 字型でロッジポール松をまとう。 道を曲がると突然にグロバン連山の白い峰が眼前に並ぶ。 思わずデジカメのシャッターをきる。
ミュール鹿が川辺の潅木の中から顔を出す。 まだ冬の薄汚い毛皮が脱げ切れていない。
やがて水量豊かな滝に到着。10メートルくらいの高さだろうか。巾は20メートル。轟音をたてて水煙をあげている。その直ぐ上にあるには1933年に整備された野外プール。更衣室もあり立派なトイレもある。辺りの草むらにピクニックテーブルとベンチ椅子、そして料理をするために上部がグリルになっている鉄の箱が傍に据えてある。冬はここまでスノーモビルで来てプールに入っている間にガイドがバーベキューを料理してくれる。 今日は家族グループや友人グループが 5 組くらい寛いでいる。 夏の水温34℃、ぬるま湯だが 冬の水温は43℃と表示されている。 今日の目的は滝の下の露天風呂。温水の小さな滝が流れ出ている下に岩で囲まれた浸かり湯がある。プールから対岸を歩かずに滝まで後戻りして道路側から川辺にでる。目指す浸かり湯は対岸の崖の下。そこまで行くには川を歩いて渡らねばならない。 浸かり湯に若いカップルが二組、岩に座って足だけ湯につけている。 やがて男の子が女の子をおぶって川をこちらにあるいて来る。流れが早いうえに石ころの川底でスニーカーの足元がおぼつかない。転びはしないかとヒヤヒヤして見ている。 水位は膝くらい。 女の子を水中に放り出さずに、どうにか私の立っている近くに上がって来た。「如何だった?行った甲斐があった?」と声を掛けた。
「つまんなかったよ。 岩
が崩れてプールがなくなってるから暖かい場所はほんの一部だけ」道理で足だけ浸していたわけだ。 私たちは水着に着替えていたが、行くのは止めた。
上着を着て草むらの岩に腰をかけてローストチキンとリンゴのお弁当を食べる。 すでに 4時を回っているが陽は高い。 去年の秋は澄み切った水が踝の上くらいまでの水深で楽々と渡れた事を思い出す。6月にお世話する8人組の女性をここにご案内するのだが、それまでに大きな石ころを並べた浸かり湯が出来ているように願う。上のプールもアメリカにしては小型で大人しく浸かって滝の音を聞きあたりの自然を楽しむように出来ている。
帰途に野鳥の保護地でハイキングをした。スネークリバーとフラットクリークが流れる
地帯に小さなトレイルが膝までの草むらに敷かれてある。池の傍でツガイのカナダ雁が草むらから優雅な首を見せている。 もう雛はかえったのだろうか?茶色の美しい小型の鴨のツガイが驚いて水際から飛び立つ。ツバメのような鳥の群れがさかんに水面をかすめて飛んでいる。暫く草むらを歩いたところにコットンウッドの森林が続く。スネークリバーの岸近くに出た。 ワイルドフラワートレイルのサインを見つける。 ルピナスが敷き詰めたように咲いている中を歩く。所々にカンピオン(石竹属、せんのう)の白い花を見つける。大木に表示があり『白頭わしが巣を作り雛を孵しているのでここからは手立ち入り禁止』とある。気をつけて見回すとトレイルとは直角に殆どの木にその表示が貼り付けてある。回り道をして草むらの中を戻る。雲雀が陽気に囀っている。その美しい黄色の姿が大木の枝の中に見える。車まで戻り道路の方向に向かったところで 大きな影が私の傍を通った。驚いて見ると見事な白頭わしが川端のコットンウッドの大木から飛び去ったところだった。真っ白な頭と尾、黒っぽい大きな羽を伸ばして舞い去る姿は正に鳥の王者。こんなに近くで見た事は初めてだ。暫く車をとめて行き先を目で追う。大きく旋回して又もとの大木へ帰っていった。何故か昨日のレーガン元大統領のお葬式で元英国首相サッチャー夫人のスピーチを思い起こした。威厳あり、心情に溢れ、整然としたスピーチでレーガン大統領を歴史の中に語り、友人として追悼された。在りし日の国のカシラの風格が偲ばれ、彼女の姿が白頭鷲の姿と重なって瞼に浮かぶ。
我家に帰り着いたのは 7時を回っていた。目的の温泉浴もハイキングも途中で止めねばならなかったが、恵まれた大自然の中、何とも気持ちの良い午後だった。
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